秋風や　油抜けたる蝉の声
　　　　　　　　　　　　　　　　しゅう平



コロナ禍を理由にオリンピックを中止できたか。国民がそう思う瞬間があったかもしれない。

だが一年延期した後の再度の中止はできず、IOCの意向を受けて政府は開催を強行せざるを得なかった。

コロナ対策もワクチン入手で後手にまわり、PCR検査から緊急事態宣言、まん延防止措置と対策は行きつ戻りつしている。

英国やフランスは厳格なロックダウンを何度も行い、罰則をもうけた。オーストラリアはメルボルンで夜8時から翌朝5時まで外出禁止にした。

日本では「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言により各地で外出自粛要請がなされたが、罰則規定はない。

憲法は「移動の自由」や「集会の自由」などの基本的人権を保障している。「公共の利益」のために人権を制限することは難しい。

国の防衛も同じで、戦争の放棄、陸海空軍その他の戦力を保持しないという憲法に縛られ尖閣諸島を守ることにも四苦八苦している。

フランスの市民革命はアンシャン・レジーム(旧体制)を打倒し、ロシアの人民革命は革命政権が史上初の社会主義国家の建設した。

日本の保守政党は資本主義に胡坐をかき、有力野党サイドも「立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守る」と言う。

かつて国会で安倍前首相が「現在も暴力革命の方針に変更はないと認識している」と答弁したが志位共産党委員長は「党は暴力革命とは無縁だ」と反論した。

自縄自縛状態にある政治から脱却するためにはある種の飛躍(エラン)が必要だが、これは容易ではない。

三島由紀夫は憲法改正のために自衛隊の決起（クーデター）を呼びかけた。文学者流にエランを求めたのだが、嘲笑され自決した。

エランとは多分戦争や天変地異かもしれない。コロナウイルスもその一つかもしれないが、意識する者はいない。

以上は夏の暑さと骨折の痛みに耐えながら、ボケ防止のために必死で頭を使ってみた結果である。