空襲の遠い記憶や　赤い夜空(そら)
　　　秋霖や　恨みの日々の記憶哉
　　　　　　　　　　　　　　　しゅう平



秋雨降りやまず、夏の暑さはいつの間にか消えてしまった。このままでは冷夏ということになるだろう。

コロナ禍のなか原爆の日も過ぎた。追悼に核兵器廃絶、世界恒久平和の実現を願って式典が行われた。

広島では十余万人、長崎では7万人を超す死者が出て、残った被爆者たちは今もなお苦しんでいる。

だが原爆を開発し投下した国に対する抗議や恨みの声は聞こえてこない。それが不思議だ。

戦争の勝敗、正邪にかかわらず憎悪、怨恨は残る。それが「核廃絶」や「世界平和」に言い替えられてしまっている。

アメリカの調査会社の世論調査では、原爆投下を正当と考える日本人が14パーセント、7人に1人もいたという。

占領下、戦争責任と罪悪感を植えつけた戦後教育。自虐の呪縛を解く術はないものか。