残り飯　群がる雀　子らに似て
　　　　　　　　　　　　しゅう平

　　聞道須洗耳　不則道難持　　
　　洗耳其如何　莫有在見知
　　知見有僅存　与道相離支
　　似我非為是　異我是為非
　　是非始在己　道其不如是　　
　　似水没石頭　祇覚一場癡


　断捨離を急ぐ家内が押し入れの掃除で「良寛詩集」を引っ張り出してきた。創元社刊の立派な装丁であり、慌ててページをめくった。最初に出てきたのがこの五言律詩である。

　仏道を聞くためには耳を洗わねばならない。己の見地、知見を捨て去ることだ。自己の考えに似ていると誤りも正しいと思い、異なっていると正しいものも誤りと思う。

   是非の基準が自らにあるのでは真理の大道ではない。それは石頭を水に浸して隠すように愚かなことだ。

　子どもたちと一緒になって手毬やかくれんぼで遊び暮れる良寛さんのイメージがあるが、曹洞宗の僧侶とあって舌鋒は鋭い。

 いい加減な過ごしようの当方には襟を正すどころか、襟を折り畳んでもすみそうにない。


　　　　さわぐ子の捕る知恵はなし初ほたる
　　　　鉄鉢(てっぱつ)に明日の米あり夕涼み　
　　　　　　　　　　　　　　　　　良寛