見回せば　　緑の山も行く秋か
　　　　　　　　　　　　しゅう平


迂闊なことだが、わが家のベランダに立って見回せば、緑の山並みが周囲をぐるりと取り巻いている。

そんなことを家内に話すと、「何をいまさら」と笑われた。確かにそうだが、言った意味はちょっと違う。

今度の台風で無残に決壊した千曲川や阿武隈川からふと思ったからだ。川は山々から流れ下り、土砂を広げて平野を作っていった。

そんな平野に立って周りを眺めると、大抵山がある。流れ出た川がある。大都会をのぞけば日本の町々はこんな風である。

先人たちはそんな土地に住み子孫を育ててきた。雨にもまけず　風にもまけず　雪にも夏の暑さにもまけぬ…。

いつもそうだったし、今もそう。これから先もやはりそうだろう、と思う。