春風や　幟はためく名古屋場所
　　
　　気合い込め　塩まく力士や　初幟
　　　　　　　　　　　　　　　　　　          　 しゅう平


名古屋場所のテレビ中継を見ながら、何よりも大相撲が好きだった父の姿をなつかしく思い出す。

相撲が始まるとテレビの前に陣取り、一番一番、力を込めて見入り、おちょこ酒に酔っていた。

そんな父の年に近づき、私もいつの間にか相撲のファンになっている。あの頃、父は何を思って生きていたのだろうか。

　　　　　　　　　　　

働くことが唯一の楽しみのように見えた父だったが、相撲を見ながら、やはりいろいろと考えていたに違いない。

私のように親孝行の真似事さえしなかった己の不甲斐なさを悔いながら、ぼんやりと見ていたのだろうか。


　　　　名古屋場所　ロボット力士も引退し
　　　　　
　　　　大相撲　父の笑顔も遠くなり

　　　　おちょこ酒　父の肴の大相撲
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　          　　しゅう平