生残る　われ恥かしや鬢の霜

　　秋立つや　一巻の書の読み残し


今日21日は「漱石の日」という。大正6年(1916)12月9日になくなっているため、祥月命日が「漱石忌」であるが、それとは違う。

文部省が夏目漱石に文学博士の称号を贈ると伝えたのに対し、明治44年(1911)のこの日、漱石は「自分には肩書きは必要ない」と辞退の手紙を送った。

この日は漱石らしい反骨記念というのだろうが、誰が考えたのかずいぶんくだらない記念である。

これなら失禁の悩みから人を解放しよういう2月20日の「尿もれ克服の日」の方がよほどましである。

「生残る…」明治43年の漱石の句でなかなかいい句だ。「秋立つや…」は大正5年9月2日付の芥川龍之介宛の手紙に記されていた。

それから三か月後に49歳で亡くなっているので、最後となった句である。

文豪は読み残していどだろうが、当方などは書き残し、思い残しが山積しているので困っている。

　　　如月の　青空(そら)に切り入る　足立山

　　　山の端に　如月の雲　二三片

　　　入日さし　如月の空　冴え返る　

　　　身も心も　鎮めて悲哀　冴え返る
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しゅう平